朝ドラ『ブラッサム』で、珠の父・葉野清治(はの・きよじ)の振る舞いに、「どうして娘にここまで厳しいの?」「働いていないのに、何で暮らしているの?」と気になった方もいるのではないでしょうか。
清治を演じるのは、今回が連続テレビ小説初出演の渡部篤郎さんです。その怖さを考える手掛かりは、本人が会見で語った、父の身勝手さを曖昧にせず演じるという姿勢にあります。一方、生活費については、家督を弟に譲った見返りとして本家から毎月給金を受け取る設定が明かされています。
二つを重ねると、自分は家業を担わずに暮らしながら、家族には厳しい清治の姿が見えてきます。番組紹介と俳優・制作側のコメントを分けて、人物像を読み解きます。
※第1週の人物設定と、第2~4回の番組紹介に触れています。
『ブラッサム』父・清治はなぜ怖い?厳しさより気になる身勝手さ

清治は、主人公・葉野珠(はの・たま)の父です。岩国の有力な蔵元の長男として生まれましたが、実家の家業は継いでいません。所属事務所の出演発表でも、家族へのしつけに厳しい役柄と紹介されています。
ただ、その人物像は「昔ながらの厳格な父」という説明だけでは収まりません。ステラnetの第2回紹介には、珠が羽織を用意していなかったために叱られ、罰として一晩蔵へ閉じ込められる展開が記されています。
ここからは描写に基づく考察です。この場面で怖く感じられるのは、叱る声の強さだけでなく、父の都合で娘の居場所まで決まってしまう関係ではないでしょうか。注意を受けるだけでは済まないため、珠にとっては父が何を求めているかを常に気にする必要があるように見えます。
しつけの目的を説明して子どもの理解を促す姿と、一方的に罰を与える姿では、受け止め方が変わります。清治への違和感は、家族に求める厳しさと、自分自身の暮らしとの隔たりからも生まれると考えられます。
渡部篤郎が語った、父の身勝手さを薄めない役作り
9月7日の第1週完成試写会見について、スターダストプロモーションは渡部さんの発言を掲載しています。渡部さんは、清治の身勝手な部分を中途半端にせず演じ、父をどう評価するかは娘の珠に委ねる考えを説明しました。
この説明を踏まえると、「怖く見えるけれど、本当は娘思いだから」と先回りして清治をかばう読み方には慎重になりたいところです。少なくとも俳優の側から、行動の裏にある善意を付け加えて安心させる演技を目指した、という説明ではありません。
ただし、役作りのコメントは物語の結末を保証するものでもありません。今後の場面で珠が父をどう捉え直すかは、そのときの描写を見て考える必要があります。
清治はなぜ働かない?生活費は本家からの給金
「働いていないのに、家族はどう生活しているのか」という疑問には、番組紹介で答えが示されています。清治は本家の家督を弟に譲る代わりに、毎月給金を受け取っているのです。家督とは、家の跡継ぎとしての地位などを指します。
| 気になる点 | 番組紹介で確認できること |
|---|---|
| 実家はどんな家? | 岩国の有力な蔵元 |
| 清治は家業を継いだ? | 長男だが継がず、家督を弟に譲った |
| 生活を支えるお金は? | 家督を譲った見返りとして本家から受け取る給金 |
| 本家との関係は? | 第3回紹介では、働かない清治をたしなめる伝言が届く |
つまり、給金という言葉が出てきても、酒蔵で働いた対価の給与として説明されているわけではありません。家業を継ぐことと引き換えに、暮らしを支えるお金を受け取る関係です。
ただし、なぜ清治自身が家業を継ぐ道を選ばなかったのか、その内心までこの設定だけで断定することはできません。確認できるのは、働かずに暮らせる仕組みと、本家もその暮らし方を無条件に受け入れているわけではない、という点です。
考察としては、この関係を押さえると清治の立場の複雑さが分かります。家庭では強い態度を取る一方、生活を支えるお金は本家から来る。家の中での権威と、経済的な自立は同じではないのです。
珠の「父について」の作文は、親子関係を見る手掛かり
第1週では、幼い珠が学校で出された「父について」の作文に悩みます。第4回の番組紹介では、ようやく書き上げた作文を父親の前で発表することになり、珠の番に清治が教室へやってくる流れが示されています。
この課題が興味深いのは、家庭の中の父を、学校という外の場所で説明しなければならないことです。珠が困る理由を一つに決めつけることはできませんが、普段接している父の姿と、人前で言葉にできる父の姿の間に隔たりがある、と読む余地があります。
自分の感じたことを、そのまま言ってよいのか。相手が喜ぶ言葉を選ぶのか。そう考えると、作文は出来のよさだけでなく、珠が自分の言葉をどう持つかという場面にも見えてきます。これは番組紹介からの考察で、珠の本心を断定するものではありません。
渡部篤郎は朝ドラ初出演!清治役に求められた存在感

2月13日の所属事務所の発表で、渡部さんは長い俳優生活を経て初めて朝ドラに出演する喜びを伝えています。今回初めてなのは、NHKの連続テレビ小説への出演です。
MANTANWEBの制作統括・村山峻平さんへの取材では、渡部さんを起用した理由として、台詞のないときにも次の動きが気になる表現力が挙げられています。
ここから考えると、清治の怖さを読む際には、怒る場面だけを拾うより、黙っている時間にも注目するとよさそうです。何を考えているか読み切れない人物が家の中心にいること自体が、周囲の緊張につながるのではないでしょうか。
父のモデルと、珠への影響をどう受け止める?
同じ取材記事は、清治のモデルを宇野千代の父・俊次と紹介しています。また、初回の裸足での買い物の場面について、制作統括は宇野千代の著作に基づく話だと説明しています。ただし、ドラマ全体は珠を主人公としたオリジナルの物語です。
制作側は、父が珠の人格の土台に関わる存在として、その関係を描く意向も示しています。ここで分けて考えたいのは、「娘の人生に大きな影響を与えた父」であることと、「父の行為を肯定できる」ことです。
人は、大切だった相手に傷つけられた経験を、単純な好き嫌いだけでは整理できないこともあります。珠が父から何を受け継ぎ、何から離れようとするのか。善人か悪人かの二択を急がず、その両方に目を向けると、清治という人物の物語上の役割を考えやすくなります。
まとめ
『ブラッサム』の父・葉野清治は、渡部篤郎さんが朝ドラ初出演で演じる人物です。家族への厳しさと身勝手な振る舞いが重なり、珠にとって逆らいにくい父の姿が浮かびます。渡部さんの役作りも、その身勝手さを曖昧にしないものでした。
働かずに暮らせるのは、家督を弟に譲った見返りとして本家から給金を受け取っているためです。生活の仕組みと家庭での態度を分けて見ると、人物像が整理できます。今後は、父を美化して結論づけるより、珠が何を受け継ぎ、何を選び直すのかに注目したいところです。
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参考資料
- スターダストプロモーション:渡部篤郎さんの第1週完成試写会見・役作りコメント
- ステラnet:第3回の番組紹介・清治と本家の給金の関係
- MANTANWEB:制作統括が語る清治の描写と渡部篤郎さんの起用理由















