『VIVANT』に登場するオルコ村。巨大な崖とその上に広がる建物を見ると、「あんな場所に本当に村があるの?」「地形ごとCGなのでは?」と気になります。
先に答えると、オルコ村は架空の国に置かれた劇中の村ですが、村の撮影には実在するアゼルバイジャンのラヒジ村が使われています。一方、崖を含む遠景は別の場所がロケ地として紹介されており、画面の村全体をそのままラヒジ村だと考えるのは早計です。
では、あの断崖はどこまで本物なのでしょうか。現地撮影が確認できた部分と、合成についてまだ分からない部分を分けると、オルコ村の風景が見えてきます。
VIVANTのオルコ村は実在する?村の設定と撮影地は別

2026年10月6日のTBS NEWS DIGは、オルコ村を架空の国・ゴルバド共和国にある、シャキ城へ続く道の村として紹介しています。同時に、実際のロケ地はアゼルバイジャンのラヒジ村だと伝えています。
ここで分けたいのは、「物語の中にある村」と「俳優さんたちが撮影した場所」です。劇中のオルコ村を、現実のラヒジ村と同じ名前・同じ地理の村として受け取ることはできません。
また、村内の撮影場所が分かっても、それだけで空から見た崖や城の風景まで同じ場所だとは決まりません。今回の疑問は、村内の景色と遠景を分けて考えることが大切です。
村内のロケ地はラヒジ村!住民も村人役で参加
TBS NEWS DIGによると、富栄ドラムさんは10月5日の公式Instagram投稿で、オルコ村の場面の撮影について紹介しました。村人役には実際のラヒジ村の住民が参加したそうです。
現実の村で暮らす人々が、ドラマの村人として画面に登場していたわけです。この撮影情報から、少なくともオルコ村の場面を「すべてコンピューターで作った映像」と説明することはできません。
遠景では非現実的に感じられる村にも、人が歩き、生活を感じさせる場面があります。その現実味を、土地そのものと現地の人々が支えていると考えると、村の見え方も変わるのではないでしょうか。
断崖の遠景はキナルグ?実在する高山集落との関係
遠景について、第三者サイトの全国ロケ地ガイドの『VIVANT』撮影地一覧は、崖の上のオルコ村の撮影地にキナルグを挙げています。オルコ村を見下ろす場所として、キナルグ展望台も紹介しています。
ただし、これは制作側の公式発表ではありません。キナルグは遠景の撮影地として紹介されている場所と位置づけ、公式に確定したラヒジ村の情報とは区別しておきます。
標高約2,180メートルの村は本当にある
キナルグ自体は、実在するアゼルバイジャンの高山集落です。国立の歴史・文化保護区の公式サイトは、標高を約2,180メートルとし、周囲の山岳景観や険しい崖について説明しています。
さらに、キナルグの村や牧草地、季節ごとに家畜を移動させる道などを含む文化的景観は、2023年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。単に珍しい形の山が評価されたのではなく、山岳地帯で続いてきた暮らしも含めた遺産です。
つまり、「厳しい山岳地形の中に人が暮らす村はあるのか」という疑問への答えは、あります。ただし、劇中の崖の形や建物の配置が現地そのままかは別問題です。高山集落の実在と、ドラマの一枚の風景が無加工であることは同じではありません。
オルコ村はCG?合成情報と断定できない部分

全国ロケ地ガイドには、キナルグを使った遠景のシャキ城などの町並みは合成、ラヒジの石畳の奥に見えるキャラバンサライも合成という説明があります。ただし、制作側による加工前後の比較や、この場面の詳しい制作解説までは今回確認できていません。
現時点の情報を並べると、次のように整理できます。
| 知りたい部分 | 確認できたこと・情報の位置づけ |
|---|---|
| 村の撮影場所 | ラヒジ村。TBS NEWS DIGで確認。 |
| 崖を含む遠景の場所 | 第三者のロケ地情報ではキナルグ。制作側の説明は未確認。 |
| 城や町並みの合成 | 全国ロケ地ガイドが説明。公式の加工範囲は未確認。 |
| 断崖そのもののCG加工 | どこまで加工したかは確認できず。 |
これらを踏まえた本記事の見立ては、実在する景色や現地での撮影に合成を組み合わせ、劇中の村として見せている可能性が高い、というものです。「崖は全部CG」「景色は全部実写」のどちらかに決めるだけの根拠はありません。
なお、TBSによる制作スタッフの座談会では、アゼルバイジャンでの大規模ロケや、作品制作の一部に生成AIを利用したことが紹介されています。しかし、この作品全体の説明だけで、オルコ村の断崖も生成AIで作ったとは判断できません。
なぜ「天然の要塞」のように見せるのか【考察】
ここからは、風景が物語にもたらす効果についての考察です。シャキ城へ向かう道にある村を、簡単には近づけない場所として見せると、視聴者は地理の説明を細かく聞かなくても、移動や接近の難しさを直感的に理解できます。
村が通過点となる設定と険しい地形が重なることで、「どうやって先へ進むのか」「村の人々の協力が得られるのか」という緊張も生まれやすくなります。風景が作戦の難しさを伝える役割を果たしている、と読むことができます。
もっとも、これは制作側が公表した意図ではありません。壮大な冒険の舞台として印象に残る景色を選んだ、という見方もできます。地形の奇抜さだけで秘密や伏線の存在を断定する必要はないでしょう。
まとめ
『VIVANT』のオルコ村は劇中の設定上の村ですが、ラヒジ村での撮影と現地住民の出演はTBSの報道で確認できます。遠景にはキナルグを挙げるロケ地情報があり、実際に険しい山岳地帯で暮らす集落も存在します。
一方、シャキ城や町並みの合成情報は第三者によるもので、断崖をどこまで加工したかは未確認です。実在する村で撮影されたことと、遠景全体が現実にそのまま存在することは分けて考えるのが、現時点で最も誤解の少ない答えです。
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参考資料
- TBS NEWS DIG:富栄ドラムさんが紹介したオルコ村撮影の舞台裏(2026年10月6日)
- キナルグ・コチヨル国立歴史文化民族保護区:キナルグの歴史と地理(公開・更新日記載なし)
- ユネスコ世界遺産センター:キナルグの文化的景観と移牧路(2023年登録)















