『VIVANT』第19話で、新庄が乃木に尋ねた「イワシ、どうします?」。返ってきたのは「我々のおかずに」という、あまりにも日常的な答えでした。別班員の救出を前に、なぜ急に魚の話なのかと気になった方もいるのではないでしょうか。
このイワシは、第18話で武器を隠すために使ったものです。第19話では、その後どうするかを新庄が確認し、食事に回すことになります。後の作戦会議にもイワシが登場し、短いやり取りがきちんとつながっています。
重大な暗号だとする根拠は、今回確認した公式公開情報や報道にはありません。むしろ、前話の小道具の後始末を描きながら、緊張を少しゆるめる場面と読むと面白くなります。
※第18・19話のネタバレを含みます。場面の意味や人物像については、確認できる描写をもとにした考察です。
第18話では、乃木と新庄がゴルバドへ武器を運ぶため、イワシを偽装に利用しました。TBSの公式振り返りには、漁師姿の二人が武器をイワシで覆い、トラックで検問を通過して集合地点へ向かう流れが記されています。
つまり、あの大量のイワシには、まず武器を見つかりにくくする役割がありました。第19話で武器を取り出せば、今度は魚だけが残ります。新庄の質問は、その残ったイワシをどう扱うかという確認だったわけです。
魚が出てきた経緯を忘れていると、唐突なギャグのようにも聞こえます。しかし前話につなげれば、作戦で使った物資を片づける、ごく実務的な会話です。そのまっとうさと、場面の緊張感との落差が可笑しさを生んでいます。
乃木のおかず発言は、その場限りの軽口ではありません。第19話についてのENCOUNTの記事では、後の作戦会議のテーブルに、山盛りのイワシ料理が置かれていたことが紹介されています。
同記事に掲載された番組公式Xの投稿も、乃木と新庄が持ってきたイワシを食べながら作戦会議をしている場面として紹介しています。運んだ魚が、本当に食事になっているのです。
| 場面 | イワシの役割 |
|---|---|
| 第18話の武器搬入 | 武器を覆い、隠すための偽装 |
| 第19話の短いやり取り | 残った魚の使い道を確認 |
| 第19話の作戦会議 | 集まったメンバーの食事 |
武器を取り出したところで、魚を画面から消しても物語は進められます。それでも使い道を決め、食卓まで描いたことで、小道具が場面のつながりを作っています。「あの魚、ちゃんと食べたんだ」と気づく楽しさがあるのは、そのためでしょう。
『VIVANT』では、何気ない言葉にも意味を探したくなります。イワシにも、別の人物や作戦を指す暗号があるのではと疑いたくなるかもしれません。
ただ、今回のやり取りは、武器搬入に使った魚を食事へ回すという説明だけで、前後の場面が自然につながります。隠された意味を加えなければ成立しない会話ではありません。
そのため、現段階では前話で使ったイワシの「その後」を回収した場面と捉えるのが素直です。未来の大事件を予告する伏線というより、すでに登場したものに小さな結末を付けた、といえるでしょう。
もし今後、別の意味が示されれば見方は変わります。しかし、制作側が重大な仕掛けとして説明した資料は、今回の調査では確認できませんでした。
第19話は、捕らわれた別班員の奪還に向けて物語が動く回です。危険な任務を前に、視聴者の関心は誰が助かるのか、作戦は成功するのかへ向かいます。
そこへ入るのが、残った魚の使い道という生活感のある話題です。新庄も乃木も、大きな冗談を披露するわけではありません。必要な確認に必要な答えを返しているだけなのに、その普通さが緊迫した状況の中では目立ちます。
ENCOUNTが紹介した視聴者反応にも、イワシの場面に癒やしを感じたり、食材を無駄にしないことを面白がったりする声がありました。少なくとも、緊張の合間にほっとできる場面として受け取られたことは分かります。
演出上の効果として考えるなら、これは作戦から完全に離れた休憩でもありません。食べながら会議を続けるため、話は前へ進みます。張り詰めた空気に少し生活の温度を加えながら、救出への準備を止めない場面になっています。
▼乃木たちはイワシを食材に食事をいっしょに楽しむ、一方、シンシー側は食事を粗末に扱う、この対比は製作者側の意図したものであろう!
乃木の返答からは、使えるものを使う実務的な感覚も読み取れます。魚は武器を隠す役目を終えても、食材としての役目が残っている。その使い道を迷わず決めるところに、乃木らしい合理性を感じる見方です。
ただし、この一場面だけで、乃木を食べ物を大切にする善人だと決める必要はありません。必要な物資を運び、残ったものも活用する。その手際のよさが、短いやり取りに表れていると捉える方が自然でしょう。
もう一つの見方として、シンシー側との対照もあります。第18話のTBS公式振り返りでは、野崎が飲食を絶たれ、配膳係から嫌がらせを受けている状況が説明されています。
その一方で、救出へ動く側は、運んできた魚を食事にして作戦を話し合う。同じ食べ物でも、一方では苦痛を与える状況に結びつき、もう一方では仲間が次の行動へ備えるために使われています。
この対比を制作側が意図したとまでは確認できません。それでも、食卓に置かれたイワシに安心感がある理由の一つとして、そう読む余地はありそうです。
第19話の「イワシ、どうします?」は、第18話で武器を隠すために使った魚の処理を尋ねた言葉です。乃木のおかず発言を受けて、後の作戦会議では実際に食事として登場します。
現時点では、重大な暗号よりも、前話からの小さな回収と考えるのが自然です。そこに、緊張をゆるめるユーモアや、物資を無駄なく使う乃木たちの一面も重なっていると読めます。
武器を隠していたときは作戦を助け、役目を終えた後は、その作戦に向かう人たちの腹を満たす。イワシを最後まで使い切るこの流れに、短い場面だからこその可笑しさと、細かな物語のつながりが感じられます。
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食事場面と視聴者の反応は、ENCOUNTの第19話イワシ場面の記事も参照しました。番組公式Xによる場面紹介は、同記事に掲載された公式投稿で確認しています。演出意図や人物像については本記事の考察です。