2026年夏の甲子園では、「例年よりホームランが少ないのでは」と感じている人も多いでしょう。
8月20日の準決勝終了時点で47試合を消化し、本塁打は7本です。残っているのは、8月22日に行われる智辯和歌山対健大高崎の決勝だけとなりました。
結論からいうと、最大の構造的な要因は2024年から完全導入された低反発の新基準バットです。ただし、投手力や試合展開も関係するため、本塁打減少のすべてをバットだけで説明することはできません。
直近4大会の本塁打数を比較すると、2024年の新基準バット導入後に大きく減っていることが分かります。
| 大会 | バット基準 | 本塁打数 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 2023年夏 | 旧基準 | 23本 | 全日程終了 |
| 2024年夏 | 新基準 | 7本 | 全日程終了 |
| 2025年夏 | 新基準 | 10本 | 全日程終了 |
| 2026年夏 | 新基準・DH制 | 7本 | 準決勝終了時点 |
2024年は7本で、金属製バットが導入された1974年以降の最少記録となりました。2025年も10本にとどまっています。
2026年は決勝前ですでに2024年の最終本数と並んでいますが、旧基準だった2023年の23本と比べれば、依然として少ない水準です。過去の数字は毎日新聞と日刊スポーツで確認できます。
日本高等学校野球連盟は、投手を中心とした選手の安全確保を目的として金属製バットの基準を変更しました。
主な変更点は次のとおりです。
高野連が行った試験では、打球初速が約3.6%低下しました。数%の違いでも、外野フェンス付近の打球では「本塁打になるか、外野フライになるか」を左右します。
詳しい仕様は、日本高等学校野球連盟の「金属製バットはなぜ変わったのか」で公表されています。
2026年大会では、本塁打だけでなくロースコアの試合も目立ちます。
決勝へ進出した健大高崎は、東海大甲府戦、有明戦、天理戦をいずれも1対0で勝利しました。優れた投手力と守備力が勝敗を左右する大会になっていることが、公式大会日程からも分かります。
低反発バットの環境では、打者側も大きなフライを狙うだけでなく、強いゴロやライナー、走塁を組み合わせて得点する必要があります。こうした戦い方の変化も、本塁打数に影響している可能性があります。
一方、「ボール自体が飛ばなくなった」という説を裏付ける公式発表は、現時点では確認できません。確実に確認できる変更はバットの基準です。
高校野球では2026年シーズンからDH制が導入されました。
DH制により、投手の代わりに打撃を得意とする選手を起用できます。しかし、DH制は打順を強化する制度であって、バットやボールの反発性能を変える制度ではありません。
そのため、得点機会が増える可能性はあっても、本塁打が必ず増えるとは限りません。
2026年春の選抜大会もDH制で本塁打は9本でした。夏が準決勝終了時点で7本であることからも、一大会だけでDH制の効果を本塁打数に結び付けるのは難しいでしょう。
DH制の仕組みと大谷ルールについては、関連記事の夏の甲子園2026でDH初導入!大谷ルールが少ない理由で詳しく整理しています。
2026年春の選抜大会では9本の本塁打が出ました。夏の甲子園は決勝前で7本です。
決勝で出る本塁打数によって、最終結果は次のように変わります。
| 決勝の本塁打 | 夏の最終本数 | 春の9本との比較 |
|---|---|---|
| 0本 | 7本 | 春を下回る |
| 1本 | 8本 | 春を下回る |
| 2本 | 9本 | 春と同数 |
| 3本以上 | 10本以上 | 春を上回る |
つまり、夏が春を上回るには決勝で3本以上が必要ですが、夏が春を下回るのは0本または1本の場合です。2本なら春夏ともに9本で同数になります。
夏の本塁打数が春を下回れば、1995年以来31年ぶり。金属製バットが導入された1974年以降では、2度目のケースとなります。デイリースポーツも、この春夏逆転の可能性を報じています。
また、決勝で本塁打が出なければ、2024年の7本に並びます。これは「新記録」ではなく、金属製バット導入後の最少記録に並ぶ形です。
本塁打の減少には、見方が分かれます。
観客にとって豪快なホームランは高校野球の魅力の一つです。一方、新基準バットは投手への強烈な打球を減らし、選手の安全を守る目的で導入されました。
本塁打が少なくても、投手戦、守備、走塁、バントなど、試合の見どころがなくなるわけではありません。2026年の健大高崎が複数の1対0を勝ち抜いたことは、新基準バット時代の勝ち方を象徴しているともいえます。
本塁打数だけで打者の技術や大会全体のレベルを評価しないことも大切でしょう。
8月22日の決勝では、次の3点が注目されます。
智辯和歌山の攻撃力と、健大高崎の投手力・守備力がぶつかる決勝です。本塁打が出るかだけでなく、両校が低反発バット時代にどのような得点方法を選ぶのかも見どころになります。
2026年夏の甲子園は、準決勝終了時点で47試合7本塁打です。
本塁打が少ない最大の構造的な要因として、2024年から完全導入された低反発バットが挙げられます。打球初速や反発性能が抑えられた一方、投手力や各校の戦術も数字に影響しています。
決勝で本塁打が0~1本なら、夏の本塁打数が春を下回る31年ぶりのケースとなります。2本なら春と同数、3本以上なら夏が春を上回ります。
最終的な本塁打数は、8月22日の決勝終了後に確定します。