【ハウス・オブ・ザ・ドラゴン】なぜ黒髪?銀髪?家系図から読み解く髪色と遺伝の謎
ドラマ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の世界にどっぷりと浸かっていると、ふと「あれ?」と疑問に思う瞬間がありませんか。壮大な映像美や複雑な人間模様はもちろんですが、多くの視聴者が一度は引っかかるポイントがあります。
それが、登場人物たちの「髪色」です。
例えば、黒人系として描かれているヴェラリオン家のコアリーズやその子どもたちが美しい銀髪を持っていたり、逆に、レイニラ王女の子どもたちは両親が銀髪のはずなのになぜか黒髪だったり……。
「これはファンタジーだから、あまり深く気にしてはいけない設定なのかな?」と思ってしまうかもしれません。ですが、実はこの髪色こそが、物語を深く理解するための非常に重要な鍵を握っているのです。
今回は、ハウス・オブ・ザ・ドラゴンの髪色に隠された秘密を、家系図や遺伝のルールから紐解いていきます。これを読めば、これからのエピソードを見る目がきっと変わるはずです。
目次
この物語において、髪色は単なる個人の見た目の特徴ではありません。
ターガリエン家やヴェラリオン家の人々が持つ「銀髪」は、彼らが古代「ヴァリリア帝国」をルーツに持つ名家であることの絶対的な証明です。原作者であるジョージ・R・R・マーティンさんの小説『炎と血』では、彼らの髪はただの金髪ではなく「銀髪」や「プラチナブロンド(銀の混じった金髪)」と明確に描写されています。
現実世界で私たちがイメージするような黄色味のある黄金色の髪(例えばラニスター家のような髪色)とは異なり、光の加減によっては真っ白に見えるほど色素が薄いのが特徴です。
| 比較項目 | ヴァリリアの血統(ターガリエン家など) | ウェスタロスの他の名家(ラニスター家など) |
| 髪色の設定 | 銀髪、プラチナブロンド | 黄金色、一般的な金髪(ゴールド) |
| 設定上の意味 | 魔法とドラゴンの血筋であることの証明 | 権力や富を象徴する華やかさ、一般的な遺伝 |
この独特の銀髪は、「私たちはかつてドラゴンを操り、魔法を使いこなした古代帝国の末裔である」という特別な血筋を世界に誇示するための、非常に大切なシンボルとなっています。
ここで疑問に思うのが、コアリーズ・ヴェラリオンをはじめとするヴェラリオン家の人々です。彼らはドラマ版では黒人系の容姿を持っていますが、見事な銀髪をなびかせています。
これには、ドラマ制作陣の明確な意図が込められています。 ショーランナー(制作総指揮)を務めるライアン・コンダルさんたちは、ターガリエン家とヴェラリオン家という2つの強大な家を視覚的に区別しやすくするため、あえてヴェラリオン家を黒人の俳優陣でキャスティングしました(情報源:HBOの公式インタビュー等)。
肌の色に関わらず、純粋なヴァリリア人の血を引く者は銀髪を持つという原作の設定を守りつつ、多様性を取り入れたドラマならではの大胆なアレンジです。この視覚的な対比によって、ヴェラリオン家の持つ「銀髪」がヴァリリアの血統を示す決定的な証拠としてより際立って見えます。
そして、ハウス・オブ・ザ・ドラゴン最大の火種とも言えるのが、レイニラ王女の3人の息子(ジャセアリーズ、ルケアリーズ、ジョフリー)の髪色です。
母親のレイニラも、表向きの父親であるレーナー・ヴェラリオンも、どちらもヴァリリアの血を引く純粋な銀髪です。本来であれば、子どもたちも美しい銀髪に生まれるはずですよね。しかし、彼らは全員が「黒髪」をしています。
この世界における遺伝の法則は、父親と母親のどちらの血が強いかという「家系ごとの相性や力関係」によって決まります。
レイニラの子どもたちが黒髪になったのは、彼らの実の父親とされるハーウィン・ストロングの「ストロング家」の血が深く関係しています。ストロング家やバラシオン家のような一部の家系は、ターガリエン家の銀髪すらも完全に消し去ってしまうほど非常に強い「黒髪や茶髪」の遺伝力を持っています。レイニラの子供たちの場合は、ターガリエンの血よりもストロングの血の強さが勝ってしまった結果なのです。
対照的なのが、ヴィセーリス王(ターガリエン家)とアリセント(ハイタワー家)の間に生まれたエイゴン、ヘレイナ、エイモンドたちです。彼らの母親はヴァリリアの血筋ではありませんが、ハイタワー家にはターガリエンの銀髪を塗り替えるほどの強力な遺伝力はありませんでした。そのため、父親である王の銀髪がそのまま子どもたちに受け継がれました。
◆アリセントの子(翠装派): 純血ではないが、見た目は「完璧なターガリエン(銀髪)」
◆レイニラの子(黒装派): 次期女王の正統な後継者だが、見た目は「ターガリエンらしくない(黒髪)」
この「誰が見ても一目で分かる容姿の矛盾」が、「本当の父親が違うのではないか」という作中最大の疑惑を生み、王位継承をめぐる凄惨な争いへと発展していきます。もしレイニラの子どもたちが銀髪に生まれていれば、ここまでの悲劇は起きなかったかもしれません。
ちなみに、コアリーズの落とし子であるアダムが黒髪である理由も同様です。彼の母親は平民であり、その母親の持つ血筋の力が、コアリーズの持つヴァリリアの銀髪を抑え込むほど強かったと考えられます。
また、別の子であるアリンが頭髪を丸めているのは、自らがコアリーズの血を引いている証拠である「銀髪(またはその特徴)」が伸びて目立つのを防ぎ、素性を周囲から隠すための行動として描かれています。
単一民族である私たち日本人にとって、こうした複雑な遺伝の法則が国を揺るがす争いの火種になるという世界観は、想像が及ばないほど圧倒的ですよね。実は、日本の多くの視聴者もこの髪色の設定には強い関心を持っています。
ネット上のファンコミュニティでは、「原作小説とドラマの設定変更による歴史的矛盾」について深く考察する声も上がっています。 ターガリエン家とヴェラリオン家は歴史的に何度も婚姻を結んでおり、初代「征服王エイゴン」の母親もヴェラリオン家出身です。「もしヴェラリオン家が昔から黒人家系であったなら、ヴィセーリス王やデイモンたちも混血の容姿になっているはずでは?」という鋭い指摘は、ドラマオリジナルの設定変更だからこそ生まれた面白い議論です。
多くの方が、こうした設定の矛盾点を含めて、壮大なファンタジーの奥深さを楽しんでいるのが分かります。
最後に、少し視点を変えて現実世界の髪色と比較してみましょう。
ノルウェー出身のアスリートであるアーリング・ハーランドさんのような美しいブロンドを見ると、「現実の北欧にはプラチナブロンドが多いのでは?」と思う方も多いかもしれません。
しかし、現実世界の北欧の人々であっても、ハウス・オブ・ザ・ドラゴンのような「完全な銀髪」を大人になっても自然に維持することは非常に困難です。
年齢による変化: 自然なプラチナブロンドは子どもの頃に見られる特徴で、大人になるにつれて髪の色素が増え、暗い金髪や明るい茶色へと変化していくのが一般的です。
自然な色抜けの影響: ハーランドさんのようなトップアスリートの髪が非常に白く見えるのは、屋外で強い紫外線を浴び続けることによる自然な色抜け(サンブリーチ)の影響が大きいです。生え際をよく見ると、毛先よりも色が濃いことが分かります。
進化の仮説: 北欧で金髪や色素の薄い肌が定着した理由については、日照時間の少なさが関係し、わずかな光で効率よくビタミンDを生成するためだという人類学などの推論や仮説に基づいています。
このように現実の遺伝の仕組みを知ると、ドラマの中で登場人物たちが持つ「根本から毛先まで真っ白な銀髪」がいかに現実離れした、美しくも異質な魔法の演出であるかがより鮮明に見えてきます。
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「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」における髪色の違いは、決して気にしてはいけないミスや矛盾ではなく、キャラクターが抱える秘密や血の繋がりを視覚的に教えてくれる重要なサインです。
容姿の遺伝という一見ささいな設定が、王国全体を巻き込む戦争の引き金になっていく。そんな作り込まれた世界観こそが、このドラマの最大の魅力ではないでしょうか。
次にドラマを観る時は、ぜひ彼らの髪色や細かな表情の違いにも注目してみてください。きっと、今まで気づかなかった新しいドラマの面白さに出会えるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!